「安鍼」「健やか鍼」治療の実際
りゅうえい先生

うつ病は5人に1人が一生に一度は経験すると言われています。

厚生労働省の「患者調査」では2002年以降、患者数が大幅に増加しています。しかし、医療機関にかかっていない患者は数字に出ていないため、実際の患者数は更に多いものと推測されます。また、うつ病治療に用いられる抗うつ剤や精神安定薬、睡眠薬の国民使用率も上昇しています。

ストレスや更年期で体調を崩す方も急増しているので政府も積極的に対策に乗り出しています。大きな社会問題になっているからです。

どちらも死に至る病気ではありませんが、症状は強い場合が多いようです。

悪化すると仕事も家事も遂行できなくなり、回復するまで長期にわたる休養に迫られるケースもあります。

目次

「安鍼」治療の実際

うつ病と不眠は表裏一体

うつ病は遺伝的な要素、あるいは更年期障害やストレス、パニック障害等といった他の精神疾患によって発生することがあります。

その対策には不足しているセロトニンの有効活用をするか、セロトニンあるいはセロトニンの前駆物質を摂る必要があります。

そのような作用を持つ薬剤の代表的が、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)です。

また、不眠症の患者数は多く、1998年では製薬市場上位7カ国(フランス、ドイツ、イタリア、日本、スペイン、英国、米国)で1億6400万人と推測されています。日本で睡眠薬を服用している人は200万人とも言われます。

りゅうえい先生

しかし、実際に治療を受けるのは20人に1人程度と言われています。

特にうつ病は眠っても直ぐに目が醒めてしまうという悪質な不眠症状をあらわします。

実際、抑うつ状態になると、不安や怒り、恐怖を取り除き、充実した睡眠を誘導するセロトニンやノルアドレナリンなどの脳内の神経伝達物質の濃度が低くなっています。

また、メラトニンの分泌不足不眠症の原因のひとつと言われています。メラトニンは脳の松果体から分泌される神経伝達ホルモンで血中濃度は概日リズムを示し、睡眠と深く関連しています。生体リズムを調節する作用や催眠作用があるため、不眠治療に用いられています。

ストレスが続くと、副腎皮質ホルモンの分泌が高まり、松果体に悪影響が出てしまうことがあります。それに伴ってメラトニンの分泌が変化することがあります。

メラトニンの分泌が低下すると、「昼は活動的に、夜は眠る」という生体リズムが狂う原因となり、その結果 不眠症になることもあります

このメラトニンはセロトニンから合成されるので、頑固な不眠症にはセロトニンを増やすことが必須になります。

りゅうえい先生

つまり、うつ病を改善することが一番の不眠症対策になり、その大きな助けになるのが「安鍼」なのです。

「安鍼」の治療の流れ

当院ではうつ病や不眠症に「安鍼」という独自の鍼灸治療で対峙しています。

先ずは脈を診ます。脈は単に速い遅いを調べるのではなく、体質やどの臓腑が病んでいるか、病気の勢いなどを診察するために必要なのです。

これを脈診(みゃくしん)と呼びます。更に舌やお腹を観察します。このように東洋医学的な診察から得られた診断結果を参考にして、その方に合った治療計画を立てます。

脈診
撓骨動脈(とうこつどうみゃく)の拍動を観察します。続いて舌やお腹、手足の皮膚や筋肉の状態を調べます。
脈診
鍼灸治療
脈診などから得られた情報をもとに施術に入ります。多くの場合、最初に背や腰の治療を行います。背や腰の筋肉の緊張を取るために鍼灸治療を行います。
筋肉は内臓の不調をあらわすばかりか、心の鏡でもあります。
うつ病や不眠、自律神経失調は必ず筋肉に反応をあらわします。それは凝りや痛み、知覚鈍麻などの異常として観察できます。
鍼灸治療
安鍼
次に仰向けになって頂き、手足やお腹、そして安鍼を行います。手足やお腹の治療は東洋医学的な診断結果が役立ちます。
背中のツボの施術の例
背中のツボの施術の例
腕のツボ
腕のツボの施術の例
お腹の施術
お腹の施術の例
「安鍼」施術の例
「安鍼」施術の例

安鍼」のツボはこめかみや目や鼻、口、耳の周囲になります。

症状や体質によって、各ツボを適宜選択します。これらのツボを利用することで、左脳のDLPFC(背外側前頭前野)や脳幹を刺激し、うつ病や不眠を解消させています。

この根拠は光トポグラフィーや脳波、オージオメーター、視力検査などで確かめています。鍼灸も‟ 効いた”だけでは説得力がありません。科学的なデータも必要です。

詳しく知りたい方は下記のリンクをクリックしてください。

「安鍼」の科学的な裏付けはコチラ>>

「健やか鍼」治療の実際

当院ではストレス障害や更年期障害による自律神経失調症に「健やか鍼」という独自の鍼灸治療で対峙しています。

人体には

  • 首や肩の筋肉のコリや痛みを楽にするツボ
  • 自律神経を調整するツボ
  • 気持ちを穏やかにさせたり、晴れ晴れとさせたりするツボ

など、自律神経系やホルモン系、精神神経に働きかけるツボが沢山あります。

これらのツボを個々の症状に合わせ、上手く活用すると、様々な症状に改善がみられます。

りゅうえい先生

これらのツボを利用し、更に「安鍼」を加えた一連の鍼灸施術を「健やか鍼」と呼んでいます。

「健やか鍼」は、次の至陽や三陰交、あるいは症状にあわせて隔兪や肝兪、百会、完骨、三里、照海などに鍼やお灸を行っています。

熱いのが苦手な方には電子灸やレーザー灸で温和な熱刺激を与えます。その上で「安鍼」を行い、効果を上げています。

至陽
背骨にある至陽(しよう)という気持ちを落ち着かせるツボ
三陰交
足の三陰交という自律神経を調整するツボ

熟睡させることが最大の回復法

治療の後、多くの患者さんから、

患者さん

温泉に入った後のような爽快感が得られた

患者さん

ぐっすり眠れた

などの喜びの感想を戴きます。

実は、これが自律神経失調症や更年期障害、抑うつ症から解放される第一歩でもあります。

なお、自律神経失調症やうつ病の場合も前頭葉の左背外側前頭前野の血流が低下しているとの学説があります。

「安鍼」の目やこめかみの周りのツボへの刺激は視床を経由して左背外側前頭前野の血流を増加させますし、口の周りへの刺激は精神の興奮を抑え、睡眠を良好にします。

また、耳の周りや外耳孔への刺激は副交感神経系を優位にさせて交感神経系の興奮を鎮め、のぼせや異常発汗、頭痛、動悸、不眠、手足の冷えなどの症状を緩和します。

これらの効果は、光トポグラフィーや脳波で確認されていますし、多くの臨床例が物語っています。

今まで多くの自律神経失調症や抑うつ症の患者さんを診てきましたが、「安鍼」を併用した場合の方が遥かに症状の軽快がみられています。

安心・安全の「安鍼」「健やか鍼」

使用する鍼などについては、全て滅菌された鍼を使用していますので、感染症の心配はありません。

また、細い鍼を利用しますので、痛みの点に入らない限り、殆ど痛みは感じません。

更に新型コロナ感染防止対策にも可能な限り努めています。換気と消毒は満遍なく行っています。

以上、簡単な説明でしたが、中身はとても濃いのです。

※本ホームページは医師の意見を参考にして制作されました。