「健やか鍼」の臨床報告

症例 T・Yさん 42歳 男性

ストレス疾患(腰痛、全身の凝り、不眠傾向)

毎朝全身が硬直しているように感じたり、腰が重く痛んだりするので、スムーズに起き上がることができませんでした。2年ぐらい前に、朝の目覚めが悪く、何度か遅刻してしまったことがあり、その後ぐらいから寝起きに腰の痛みを感じるようになってしまいました。人員整理のあおりを受け、余計な仕事まで回ってくるようになり、疲労が頂点に達していたのだと思います。近所の整形外科で診てもらうと、腰椎には大きな変化がみられないので、恐らく筋肉の疲労だろうと言われました。鎮痛薬や湿布薬を処方され、しばらく試してみましたが、痛みは少しも軽くなりません。そこで、某大学病院で、MRIを撮ってもらいましたが、痛みの原因となる器質的な変化は認められませんでした。思案の挙句、会社の産業医に相談し、しばらくの間休職して安静加療に努めることにしました。そんな折、貴院の活脳鍼のことを知り、一度治療を受けてみることにしました。

担当者より体格が良く大柄な男性で、外見はいかにも健康そうに見えるが、弱々しい声で悩みを訴えてきた。発症から現在に至るまでの経緯から、身体表現性障害が疑われた。そこで、活脳鍼はもとより、頭や背中、手足にある鎮静ツボに鍼灸治療を施した。また、朝の日光浴と、薄ら発汗する程度の歩行運動も勧めた。特に緑の多い公園で行うと更に効果的だとも付け加えた。朝の太陽の光はメラトニンの分泌を促進し、歩行運動は自律神経を調整し、清々しい気持ちで行う散歩は痛みの中枢性感作を緩和させる可能性が高いからだ。治療経過は良好で、1ヶ月も経たないうちに起床時の全身の凝りも腰痛も軽快し、会社に復帰することができた。現在、悪化しないようにと定期的に来院しているが、根本的な解決法は、本人がストレスに強くなるか、自分の生き方に合う職場に転職することしかないであろう。