「安鍼」の臨床報告
臨床例 Aさん
脳梗塞後遺症、睡眠障害、抑うつ
今回の臨床報告は脳出血後遺症で左半身の麻痺を患いましたAさんのお話です。左側の腕や背中などの上半身の痛みと、左足裏のしびれが気になっていました。特に睡眠がひどく悩んでいる様子でした。運動機能は、大きな支障はないようですが、強い痛みとしびれを感じて細かい動きを阻害しているようです。
治療を重ねていくと、睡眠の改善を実感してくれました。今までは、夜中に5回以上起きてしまい、気づけば朝方になり、ほとんど眠れない日々を送っていたそうです。また、次第にうつになるのではと不安な気持ちもあったようです。現在は、夜中に目が覚める回数が2回ほどになり、眠れている実感があるそうです。しっかり眠れているので日頃のストレスも軽減し、以前よりも快適に過ごすことができるようになってきているとのことです。また、他で受けているリハビリの先生からは、「動きがよくなっていますね」と褒められたそうです。動きの改善もみられていますので、引き続き治療を続けていきたいです。 脳卒中後になりやすい症状の一つに、うつがあります。今まで当たり前のようにできていたことが、目を覚ました瞬間からできなくなってしまうのですから、ショックは大きいでしょう。何事にも意欲がなくなり運動マヒや感覚障害などの症状も悪化します。なぜなら、重要なリハビリ運動に消極的になれば、脳から体への運動神経回路は構築しないままになります。さらに、慢性的なしびれや痛みを伴えば、中枢性感作という状態も考えられるからです。Aさんは、発症後、不眠が続いて気力の低下が著しかったので、我々の治療が遅かったら、うつ状態から負の連鎖をおこし、症状はもっと悪くなっていたかもしれません。うつ状態は脳の血流が低下しています。健やか鍼は、脳内の血流を促し、また神経機能を高めるような目的で行っています。実際に多くの方が、今まで動かないと諦めていた手足が動くようになったり、痛みやしびれが軽減されたりします。もちろん、上記の様な睡眠障害の改善例もあります。